学校の働き方改革の「着地点」はどうなるのか
副代表 中川路 守
「学校の働き方改革」が社会的な問題として認知されてから早8年ですが、劇的な改善にはつながらず、
現在、再度の中央教育審議会が開催され「教員確保」を主たる目的として業務改善を含めた議論が最終盤を迎えています。今、学校に限らず、どの業種・職種も慢性的な人員不足や長時間労働の問題を抱えています。
労働者にかかる負担は増え、過労に耐えられなければ、心身に故障を起こします。厚生労働省と文部科学省は精神疾患によって1か月以上の休みを取得した職員の割合を公表しています。鹿児島県においては、民間企業の0.5%に対して公立学校の教員は1.05%で、民間企業の労働者の2倍以上の割合になっています。この数値は全国平均とほぼ同様です。休みに至った経緯はさまざまでしょうが、学校が民間企業の2倍以上のリスクにさらされていることは確かです。
2019年の中央教育審議会答申に基づく通知で、文科省は「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」等の4つの視点とそれにもとづく具体策を提示しました。勤務時間外の朝のあいさつ指導や、自分も食べながら指導する給食指導等の改善等が言及されましたが、どこか「業務改善は学校がすること」ことみたいなとらえ方があったのではないかと私は理解しています。一方で、教員の授業改善のために実施されているはずの全国学力学習状況調査が、都道府県や市町村ごとの点数競争に使われたり、大学の教員養成課程で学ぶことのなかったプログラミング教育や小学校での英語指導を、研修の機会も十分でないままに実施せざるをえなかったりすることが大きな負担になっているのが実情です。連合総研は全国調査を行い「授業そのものが大きな負担になっている」という分析を示しました。これは非常に深刻な事態だと思います。
さらに、学級経営や学校行事等に関わって、保護者や地域からのさまざまな要求もあります。例えば、「仕事が忙しくて授業参観には行けないから、授業をライブ中継して」という要求に応えてしまったことで、メンタルダウンに追い込まれた教員がいました。保護者は我が子可愛さに学校でのようすを知りたいのでしょうが、教員は自分の一挙手一投足をずっと「監視」されているように感じます。多くの教員は、子どもが好きで「子どものために」と考えて、日々の授業づくり・学級づくりにとりくんでいるだけに、そうしたことが「落とし穴」になることを、教育に関わるすべての人は認識しておく必要があると思います。
冒頭紹介した中央教育審議会の内容を誘導するように、自民党は先んじて「提言」を公表しました。教員の手当を増額・新設すればいいというものです。自民党らしい提案であり、この提言をベースに議論がすすめられています。ただし、仮に手当を倍増させたとしても、対処すべき業務が減ることはありません。先述したように、点数主義の撤廃や高度で膨大な学習内容の削減等、文部科学省の政策を大きく変えない限りは、教職員が心身ともに疲弊する状況を変えることは無理です。「授業そのものが大きな負担になっている」状況が、子どもにとっても、教員にとっても不幸な状況です。やはり、政治を変えていくことが重要だと思います。
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