2023年度 川内原発避難訓練監視報告―能登半島地震の後で

2024年2月10日(土)「原子力防災訓練」が行われ監視活動に参加した。能登半島地震を経験し、志賀原発の被害状況も明らかにされない中での訓練である。今回も、「午前7時に薩摩半島西方沖を震源として最大震度7の地震が発生」の想定の下訓練が展開された。

例年との違いや気になることを報告したい。

8時に知事が議長の第1回災害対策本部会議、続いて県・市町村会が開催されたが、TV会議器機の接続不備やリーダー会議のもたつきが気になる。災害時はもっと混乱するだろう。今回、会議室に2つのモニターが設置されていた(前回までは1台)。新設のモニターに自衛隊のドローンの映像が映し出されていた。能登半島地震での経験(ドローンを飛ばさず非難されたこと?)を基に、川内原発やその周辺・道路状況を報告していた。一定の改善と言えるが、道路には異常が無い設定(一部の崖崩れによる土砂は撤去済み?)で、ここでも能登半島地震での道路が切断され救助に迎えない実態は、訓練自体を否定している。(映像にはWESTERN ARMYとある。自衛隊は軍隊か?)

オフサイトセンターから原発の地元・寄田地区コミュニティーセンターに向かう。今回は、倒木の排除と共に、倒壊家屋からの住民救助の訓練も行われる。ここでも能登半島地震を意識してか、前回より多量の倒木が準備されていた(自然木ではなく7から8mに切断の材木)。災害防災無線放送から「発電所から市比野、藤本、野下地区方向に風が吹いています」とあった。これは、わたしたちが「これまでの放送では、住民がどこに避難したらいいかわからない」と指摘した成果である。また、「観光客に皆さんは速やかに自宅に帰ってください」のアナウンスには、首をかしげる。観光客は自家用車だけだろうか。とはいえ、西方または北西からの風を想定するのであれば、今回の避難は北部方面を計画するのが妥当ではないだろうか(北部への避難も計画)。倒木の除去は、大量だけに苦労していた。太い倒木が指揮をする隊員の方へ転がり、「あわや惨事に」の場面もあった。倒壊家屋からの救助は、消防署の特別救助隊が行う。チェーンソーを使って屋根を切り開き、負傷者(生存者)を救助する。が、救出された住民を搬送する救急車はなかった。

日置市吹上中央公民館の避難退域時検査場では、避難してきた車両の点検が行われていた。汚染の有無を点検する職員は防護服を着用していたが、周りの職員は着用していない。汚染の有無を点検するが、汚染した車両の除染の設備はない。

汚染した車両からは代表者のみが車両から降りてきて、汚染の有無の点検を受ける。代表者が汚染さ れていないと判断されるとその車両の全員が汚染していないと判断され、車両は移動する。代表者が汚染していると判断されると、全員が降車し検査を受け、それぞれの対応を受ける。

一連の流れの最後の方に安定ヨウ素剤を配布するテントがある。安定ヨウ素剤の服用はできるだけ早く服用することが重要であるが…。

能登半島地震で、救助に向かう自衛隊員が道路の分断で車両が使えず、泥をかき分け懸命に進んでいる映像をわたしたちは見ている。今回の避難訓練では地震発生から1時間で崖崩れから道路が回復したとしている。道路が隆起し分断された現実を前に「訓練だから1時間で復旧」という「訓練のための訓練でいいのだろうか」7~8mに切断された倒木でさえ撤去に苦慮していた。20~30mの自然木の倒木に対応できるのか。いやそれ以前に重機がその場所に到達できない。実際、志賀原発では避難11経路中7経路が遮断されている。原子炉から放射能が漏れるような地震災害では、住民は避難できないし救助へも向かえない。

住民を放射能から守る最良の方法は、一刻も早い川内原発の稼働停止・廃炉である。