人権に関して思うこと

副代表  吉村 清隆

 ブログなどにアイヌ民族、在日韓国・朝鮮人への差別的投稿をした杉田水脈元衆院議員を自民党が夏の参院選比例代表で公認したとのニュースを見た。杉田氏は2016年、国連の会議に参加した際、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」などとブログに投稿。2023年に札幌法務局と法務省が人権侵犯と認定した人物である。

「ありえない」の一言であるが、この記事で、人権について考えさせられたことを思い出した。

 私は1985年から約5年京都に住んでいたことがあり、大学に在日韓国人の同級生ができ、そこで、在日韓国・朝鮮人への差別の実態を聞かされた。多くを語るスペースはないが、その一つが「在日外国人に対する指紋押捺制度」である。この制度は、かつて日本に在住する16歳以上の外国人を対象に、外国人登録の際に指紋の押捺を義務付けていた制度である。これは、特に在日韓国・朝鮮人を中心に、人権侵害であるとして長年にわたり強い批判と反対運動が起こった制度であった。人権侵害とされた主な理由は、在日韓国・朝鮮人の多くは、日本の植民地支配という歴史的経緯から日本に居住するようになった人々であり、指紋押捺制度は、あたかも犯罪者のように扱われていると感じさせ、民族的な尊厳を傷つけるものであったことや指紋を押す行為や、それを拒否した場合の不利益(再入国不許可、登録証の不交付など)は、在日韓国・朝鮮人に大きな精神的苦痛を与えるものであったということである。こうした批判の高まりを受け、1999年の外国人登録法改正により、指紋押捺制度は2000年に全面廃止された。これは、長年にわたる在日韓国・朝鮮人を中心とした人権団体や市民運動の粘り強い活動の成果だったと言える。

 このことで何を思い出したかというと、その友人の母親の言葉である。友人の母親は普通のどこにでもいるお母さんだったが、子ども孫の未来のためにと、一生懸命に(それこそ命を懸けて)反対運動をしていた人だった。その方が、「自分たちに対して、政治家や圧力団体が言ってくることなんて、何も怖くないし悲しくもない。ただ、(内容を何も知らない)普通の人たちの蔑んだような、危ないものをみるようなその目が悲しい」と言っていたことだ。

 改めて、アンコンシャス・バイアスにならないよう気を付けながら、人権侵害・差別とは何かを学び、それをなくすための行動を起こしていきたい。