高市政権発足と反戦平和運動

代表  平井 一臣

日本政治史上初の女性首相として注目を浴び発足した高市早苗政権。発足時の内閣支持率は極めて高い。高支持率になった理由としては、①史上初の女性首相への期待、②就任早々の首脳外交の演出効果(トランプ米大統領の隣ではしゃぐ首相の姿は、良し悪しは別として、かなりのインパクトを与えた)、③財政規律よりも経済刺激策を重視する経済政策への期待、といった点が考えられる。しかし、高支持率は今後の政権の安泰を保障するものではない。実は、内閣発足時に高支持率だった歴代内閣の多くが短命に終わっているのである(田中角栄内閣、細川護熙内閣、鳩山由紀夫内閣等)。

周知のとおり、高市内閣は少数与党内閣である。しかも、1999年以降ずっと自民党の連立相手だった公明党が離脱し、その代わりに日本維新の会を新たな連立相手になった。自公連立は緊密な選挙協力とセットであったが、自民党と日本維新の会の間では、そうした緊密な選挙協力は不可能だろう。この新たな連立が持続的・安定的なものになっていく可能性はそれほど高くはないように思う。高市政権は極めて脆弱な政権基盤のうえに辛うじて成り立っているのである。

高市首相は、政権基盤の弱さを覆い隠すために、国民世論の支持をテコにして難局を乗り切ろうとしているかに見える。国内政策においては、第二次安倍政権の成功経験をなぞるように「サナエノミクス」というスローガンを掲げて日本経済の復活を訴える。アベノミクス同様、実際の経済効果がどうなのか、とくに急激な物価高と格差問題に対して有効な手立てがなされるのかは分からない。実態よりもムード作り、なのである。

一方、対外政策においては、かつての安倍政権を支え、近年参政党や保守党に奪われたと見られる岩盤保守層を意識した強硬で前のめりの姿勢を示す。「台湾有事」に対する存立危機事態発言がその典型である。国民に浸透しつつある中国脅威論に便乗し、ボクシングに例えれば、いきなりファイティングポーズをとって喝采を浴びようとする。観客受けを狙った言動は、中国は対日姿勢を硬化させるだけである。戦略なきその場限りの外交が展開され、それに世論も拍手喝采を送るという悪循環が始まっている。非核三原則の見直しまで突き進もうとする政権に対してブレーキをかけることができるのかどうか。今まさに戦後日本の反戦平和運動の真価が問われている。